発情発見率はその名の通り、発情を見つけた割合です。
次回以降で妊娠率について話を進めたいと考えていますが、
妊娠率=発情発見率×受胎率
として計算されるので、発情発見率は感覚的でも良いので、理解してもらいたい内容です。
発情発見率=「発情を見つけた頭数」/「発情がくるべき頭数」
「発情を見つけた頭数」
これはほとんどの場合、AIもしくは移植した頭数とイコールです。その理由は、繁殖管理ソフトでは、授精もしくは移植と入力されると、それは当然、発情としてもカウントされます。プログラム授精だとしても発情があったからAIしたわけなので、実際に発情兆候を見つけたかどうかではなく、「AIもしくは移植した=発情もあった」とカウントします。逆にVWPを過ぎて発情を見つけはしたものの、乳量が多すぎるなどの理由でAIや移植をしなかった(繁殖管理ソフトに入力しなかった)場合は発情発見率の分子である「発情を見つけた頭数」にはカウントされません。私の知る限り、活動量計とセットの繁殖管理ソフトでは、活動量で発情となっても、こちらが入力しない限り、発情を見つけた頭数にはカウントされませんし、発情を見つけただけの牛をわざわざ発情と入力する人は少ないと思うので、発情を見つけた頭数=授精移植頭数となります。
「発情が来るべき頭数」
これまでの内容でもやや複雑でしたが、さらにややこしいのが分母の発情がくるべき頭数です。
言い忘れましたが、「発情を見つけた頭数」も「発情がくるべき頭数」も、期間を区切らないと、そもそもカウントできません。DC305やFarmnoteでは、21日間という期間ごとにカウントしているので、そこから計算される妊娠率を21日妊娠率と呼んでいます。
では、ある21日間という期間に、発情のくるべき牛とは?その条件は何なのでしょうか。
DC305におけるその条件を列挙しますと、
1.VWPを超えていて
2.未授精で(授精を1度もしていないという意味ではない)
3.今後も繁殖する牛で
4.その期間に11日以上いた牛
ということになります。以下にそれぞれを解説します。
1.当然、VWPを超えていない牛は対象から外れます
2.授精している牛で妊娠鑑定待ちの場合も外れます。しかし、例えばAIをして40日後に妊娠鑑定をした結果、未受胎だった場合には、遡って授精から21日前後には発情が来ていたはずと見なされます。
3.繁殖に供しない牛=繁殖除外の牛は含まれません。例えば10産していて分娩後すぐに、この牛はもう繁殖しないと決めて、そのように入力していたら、対象外となります。しかし、何度も授精して最終的に不受胎で繁殖除外となった場合には、除外となるまでの期間は対象となります。
4.これが1番わかりにくいので、図を示します。
1月1日からの21日間という期間を設定したときに、
1月6日にVWPが終わった牛Aは15日間は対象期間にいたことになります。そのため、設定された21日間に「発情が来るべき牛」としてカウントされます。
1月12日にVWPが終わった牛Bは9日間しか対象期間にいないことになります。こちらは対象外となります。
ここまで発情発見率について詳細に考えてみましたが、まとめて考慮するとDC305やFarmnoteで発情発見率を80%や90%とすることはかなり難しいでしょう。年間通して55%~60%くらいあれば優秀と思います。
ただ、先程も言いましたが、繁殖管理ソフトによって、期間や発情がくるべき牛をどのように設定しているかが異なるので、注意が必要です。異なるソフトで得られた発情発見率や妊娠率の比較には意味がなく、農場内での変化を注視すべきと思います。
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